埋込み前後の複雑さのヒストグラム

(KIT ステガノグラフィ研究グループ)


埋込みの原理に拘わらず、どのようなステガノグラフィであっても、埋込み後の Vessel Image (秘密データを埋め込んだ画像)は、埋込み前と比較すると何処かが(何かが)変化しています。BPCS-Steganography も例外ではなく、複雑さヒストグラム曲線が変化することになります。実際の変化の程度は、埋込量、埋込前のヒストグラムの形状、複雑さの閾値の設定、などが関わります。

 

以下の図は模式的に、、

 

  (A) 埋込み前の複雑さヒストグラム(青色)と埋込みファイルの複雑さヒストグラム(赤色

  (B) 埋込みファイルに関する Conjugation 操作

  (C) 埋込み後の Vessel Image (すなわち、Stego Image) の複雑さヒストグラム

 

を示したものです。しかしこの図は、実際の変化の様子を概念的に説明するためのものであり、実際にはこれほどはっきりとした変化は現れません。

 

 

(A)

 Vessel image and embedding file

(B)

 Conjugation operation on the embedding file

(C)

 Complexity histogram after embedding

 

 

この模式図からも分かりますが、(C)に於いて、複雑さが 1-Θ0 よりも大きい画像ブロックには、Conjugation の結果によるものと、元からそのような複雑さを有していたブロックが混在します。従って、埋込みファイルを抽出操作で正しく復元するには、埋め込む前に、あらかじめ Conjugation Map データを作成しておき、そのデータも Vessel Image の何処かに埋め込んでおく必要があります。

 

(最終更新日: 2014, 03, 06   河口英二)